Fever Dreams (DIO)


ども!管理人です。
ロニー没後10年で後期DIOの4枚が再発されるというニュースに乗って、只今こちらのブログでは後期作品からの曲を順次紹介しております。
今回は2000年のアルバムMagicaより、Fever Dreamsを特集いたします!

pic:Ronnie James Dio Stand Up and Shout Cancer Fund
このアルバムは90年代の現代的な作風からクラシック路線へと回帰した、2000年代DIOの幕開けとなる作品です。唯一のコンセプトアルバムで、曲の背後には一貫した物語があります。
そのせいかこのFever Dreamsも、ややRainbow時代を思わせるファンタジックな音作りになっています。
Fever Dreams by DIO
※翻訳は管理人によるものです
Lately when my demons drag the night across my eyes
I just can't seem to fight it anymore
Yield unto temptation and be ruler of the world
But it seems that I have heard that song before
And the voices begin to sing - Come home※
最近、私の魔物がこの目に夜を引きずってきたとき
もう戦えない気がした
奴らは誘惑を生み出し、世界の支配者となる
だがあの歌は聴いたことがあるようだ
あの声が歌い始める―痛切なひびき
※come homeには「家に帰る」のほか「胸にこたえる/痛切に感じられる」の意もあり
I have seen some evil as I've walked upon the earth
But this is way beyond what eyes can see
Wicked is as wicked does and if I lose control
Is this the way that hell is gonna be?
大地を歩き、いくらかの邪悪なものを見た
でもこの道は見えるものを越えている
悪は悪の為したこと、そしてもし私が正気を失ったら
この道は地獄への道なのだろうか?
Have I fallen too far to rise?
Been burning too long in the fire
Then it all falls down
Tearing the night away
私は昇れないほど墜ちてしまったのか?
あまりに火の中で焼かれすぎ
やがて全てが墜ちていく
夜を引き離して
It must be fever dreams
Fever dreams
Fever dreams
きっと熱病の夢だ
熱病の夢
熱病の夢
Now before my demons roll the night across my eyes
I tremble as I wait perhaps to sin
Yield unto temptation and be ruler of the world
And all I do is let the beast come in
今、私の魔物たちがこの目に夜を巻き込んでくる前
私は罪の予感を待ち 震える
奴らは誘惑を生み出し、世界の支配者となる
全て私のすることは獣を呼ぶ
Have I fallen too far to rise?
I've been standing too long in the fire
Let it all fall down
Tearing the night away
私は昇れないほど墜ちてしまったのか?
あまりに火の中に長く耐えている
全てを墜ちるままにさせろ
夜を引き離して
It must be fever dreams
From the outside
Fever dreams
Oh, fever dreams
Fever dreams
きっと熱病の夢だ
外からやってくる
熱病の夢
熱病の夢
これはMagicaのストーリーに沿うと、邪悪な勢力であるイーブルサイドが、彼らに対抗しようとする英雄エリエルを脅かすために様々な幻影を見せるシーンと思われます。
よく西洋絵画に出てくる「聖アントニウスの誘惑」みたいですね。
エリエルは物語の始まった時点では隠者になっていましたが、イーブルサイドの侵略を知って戦いの場に舞い戻ります。
その隠者だったころからすでに誘惑は始まっていました。
Magicaの物語についてはこちらの記事にまとめましたのでどうぞ。
Lately when my demons drag the night across my eyes
I just can't seem to fight it anymore
Yield unto temptation and be ruler of the world
But it seems that I have heard that song before
And the voices begin to sing - Come home
最近、私の魔物がこの目に夜を引きずってきたとき
もう戦えない気がした
奴らは誘惑を生み出し、世界の支配者となる
だがあの歌は聴いたことがあるようだ
あの声が歌い始める―痛切なひびき
伝説的な英雄エリエルにも人間としての弱さがあったと感じさせる部分です。
(この場合、別の星の話なので人間という言葉は合っていないかもしれませんが、とりあえず地球で言えば人間に相当するはずなので。)
物語上ではエリエルは幻影に負けることなく「マジカの書」を祀ってある聖地にたどりつくのですが、この曲は彼の知られざる内面の歌ということになりますね。
この時点でエリエルは悪が世界を支配することを予告してしまっているようです。
そして彼は、この戦いは今までに体験したことがある相手だと気づきます(「あの歌は~」の部分)。エリエルはかつて、何度もイーブルサイドと戦って勝利を収めたことがあるからです。そのやり口もすでに知っているのでしょう。
I have seen some evil as I've walked upon the earth
But this is way beyond what eyes can see
Wicked is as wicked does and if I lose control
Is this the way that hell is gonna be?
大地を歩き、いくらかの邪悪なものを見た
でもこの道は見えるものを越えている
悪は悪の為したこと、そしてもし私が正気を失ったら
この道は地獄への道なのだろうか?
「この道」は物理的に歩いている道であると同時に、イーブルサイドとの戦いの道でもあります。
Have I fallen too far to rise?
Been burning too long in the fire
Then it all falls down
Tearing the night away
私は昇れないほど墜ちてしまったのか?
あまりに火の中で焼かれすぎ
やがて全てが墜ちていく
夜を引き離して
これは、エリエルが聖地に向かっているシーンとしては時間的にずれるんですね。
人間が火に焼かれるシーンが出てくるのは「アザーワールド」の場面からなので。
アザーワールドはイーブルサイドの犠牲になった人々(厳密にいえばその魂)が送られる世界で、かなり忠実に炎熱地獄のイメージに従って描かれています。
エリエルもまたイーブルサイドによって捕らえられ、アザーワールドに転送されますが、イーブルサイドの全ての支配をひっくり返す力を持つ再生の呪文を頭に入れていました。
したがってこれは彼がこの後のことを予期しているのか、それとも場面が変わってすでにアザーワールドなのかもしれません。
It must be fever dreams
Fever dreams
Fever dreams
きっと熱病の夢だ
熱病の夢
熱病の夢
自分が見ているものは幻影にすぎないとはっきり認識しています。
これはアザーワールドに送られた後のこととしても読めます。エリエルは復活の魔術を身につけているので、たとえ今イーブルサイドが力を振るっていても、その勢力が必ず潰えることを知っているからです。
Now before my demons roll the night across my eyes
I tremble as I wait perhaps to sin
Yield unto temptation and be ruler of the world
And all I do is let the beast come in
今、私の魔物たちがこの目に夜を巻き込んでくる前
私は罪の予感を待ち 震える
奴らは誘惑を生み出し、世界の支配者となる
全て私のすることは獣を呼ぶ
エリエルの内なる葛藤に戻ります。
「全て私のすることは獣を呼ぶ」とは、イーブルサイドに抵抗すればするほどこちらの犠牲も増えてしまう、その悩みでしょう。
おおかた、英雄譚で犠牲が顧みられることってあまりないですよね。
その顧みられることのあまりない面に目を向けています。
Have I fallen too far to rise?
I've been standing too long in the fire
Let it all fall down
Tearing the night away
私は昇れないほど墜ちてしまったのか?
あまりに火の中に長く耐えている
全てを墜ちるままにさせろ
夜を引き離して
全てを墜ちるままに~以降は、おそらくイーブルサイドに対して発している言葉です。そうでないとlet itの意味が通じないので。
It must be fever dreams
From the outside
Fever dreams
Oh, fever dreams
Fever dreams
きっと熱病の夢だ
外からやってくる
熱病の夢
熱病の夢
「外からやってくる」のがちょっとしたポイントのように思えます。
fever dreamsとはおそらくイーブルサイドが仕掛ける誘惑を指しますが、彼らの暴虐も所詮は「夢」だ、という認識も考えられます。
そしてそんな悪夢も自分の心から出たものではない(自分の心までは変えられない)。
そんな意味だったとしたら、やはり最後にはエリエルの心の強さがこんなところに出ているのかもしれません。
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