Master of the Moon (DIO)


今回は2004年のアルバムMaster of the Moonのタイトル・トラックをご紹介いたします。
とにかくこの曲はサビが美しい!何はともあれまずサビを聴いてほしいくらい。

2000年代のロニー。
Master of the Moon by DIO
※翻訳は管理人によるものです
(1分22秒あたりからサビ)
And then you dream
Of a world with only windows
Inside you, you can hide you
You know
そしてお前は夢を見る
窓から見るだけの世界を
自身の中にお前は隠れていい
分かるだろう
And then the night
You're just another empty shadow
No questions, no answers
No one to scream at you
そして夜
お前は別のからっぽの影
問いも答えもなく
誰もお前に叫ばない
Turn around and when you face the sun
We can make you be like everyone you know
Hey, you, you're just master of the moon
振り向いて太陽に面した時
お前の知っている誰にでも変えてやろう
お前だ、お前は月の支配者
And then the eyes
If you look at them they'll blind you
Who are you? What are you?
Why do you scream at me?
そしてあの目
お前が彼らを見れば、お前の目は塞がれる
お前は誰だ?何者だ?
なぜ私に叫ぶ?
Turn around and when you face the sun
We can make you be like everyone you know
Hey, you!
Master of the moon
振り向いて太陽に面した時
お前の知っている誰にでも変えてやろう
お前だ!
お前は月の支配者
We can shake you, make you over
We just need some time
To shed some light upon your darkness
We need your mind
私たちはお前を揺さぶり造り変える
ただいくらかの時間が要る
お前の闇に光をそそぐために
お前の心が必要なのだ
And then you dream again
In a world that only you know
Inside you, you can hide you
No one to scream at you
そしてお前は再び夢を見る
お前しか知らない世界で
自身の中にお前は隠れていい
誰もお前に叫ばない
Turn around and when you face the sun
We can make you be like everyone you know
Oh turn away and never face the sun
You'll never make me be like you
I'm master of the moon
振り向いて太陽に面した時
お前の知っている誰にでも変えてやろう
背を向け、もう太陽に顔を向けるな
お前はもう決して、私をお前にさせようとはするまい
私が月の支配者
ロニーはこの曲について、インタビューで次のように述べていました;
「友人の15歳ぐらいの息子について書いたんだが、アメリカでは、親が子供に理解を示したり話をしたりするよりも、叫ぶことで子どもたちをコントロールしようとする。そして、お前のことがよく分かるように明るいところにいろと言うんだが、自分で生き方を見つけたい子供は、太陽ではなく、闇の象徴である月の支配者になるんだ。」
※出典:『情念のロック・シンガー ロニー・ジェイムズ・ディオ』シンコーミュージック刊
月は太陽に比べてネガティブなイメージが多く付きまとっており、狂気に陥った状態をルナティック(ラテン語の月はルーナ)と呼んだりします。
狼男が現れるのも満月の夜じゃなかったかな。
ロニーは子どもについて歌うことが何度かありましたが、この曲もその中に入りそうです。
And then you dream
Of a world with only windows
Inside you, you can hide you
You know
そしてお前は夢を見る
窓から見るだけの世界を
自身の中にお前は隠れていい
分かるだろう
a world with only windowsは「窓から見るだけの世界」と訳しました。
それは実際に体験するのではない世界。子どもが、自分の空想の中だけで体験する世界です。
ここでは現実世界に背を向けて自分の世界に閉じこもる子への優しい視点が感じられます。
And then the night
You're just another empty shadow
No questions, no answers
No one to scream at you
そして夜
お前は別のからっぽの影
問いも答えもなく
誰もお前に叫ばない
「叫ぶ」のはロニーの言葉通り、大人でしょう。
「問い」と「答え」は誰が誰に対して発するものなのでしょうね?
子どもはおそらく問いかけたいことがたくさんあると思う。そして、ここでは問や答えが「ない」状態をむしろ安らぎのように言っていますね。
なので、大人が発するものととらえます。
しかし「からっぽの影」ということは、その子の見ている夢がいかにも絵空事、幼い感性のたまものであり、非現実的であることを示しているようです。
Turn around and when you face the sun
We can make you be like everyone you know
Hey, you, you're just master of the moon
振り向いて太陽に面した時
お前の知っている誰にでも変えてやろう
お前だ、お前は月の支配者
これは何だか、"大人に対して不信感を持っている(あるいはすねている)子どもが、特別に心を開いている誰か"からのメッセージのようですね。
この曲全体が、そういう何者かの言葉のように見えます。
「太陽に面する」とは、今は背を向けている大人の社会と向き合うという意味でしょうか・・・
もしくは、その子があこがれている何か、の可能性もあります。
And then the eyes
If you look at them they'll blind you
Who are you? What are you?
Why do you scream at me?
そしてあの目
お前が彼らを見れば、お前の目は塞がれる
お前は誰だ?何者だ?
なぜ私に叫ぶ?
この部分がよく分からなくてね(泣)。
「お前」は子ども、「彼ら」は大人のはずなのよ、これまでの文脈で行くと。
ロニーのインタビューによると、「叫ぶ」のは大人だったはず。しかしここでは子どもの方が叫んでいる。
もしかしたら、大人に反発する子も結局は意思表示しようと思えば感情をぶつけるという手段をとってしまう。そう言っているのかもしれません。
Turn around and when you face the sun
We can make you be like everyone you know
Hey, you!
Master of the moon
振り向いて太陽に面した時
お前の知っている誰にでも変えてやろう
お前だ!
お前は月の支配者
ほぼ繰り返しなので省略。
We can shake you, make you over
We just need some time
To shed some light upon your darkness
We need your mind
私たちはお前を揺さぶり造り変える
ただいくらかの時間が要る
お前の闇に光をそそぐために
お前の心が必要なのだ
おそらく、「造り変える」のはこの世界で生きていけるようにするため。
適応すると言えばあまり印象がよくないけど、子どもの感性をこの世界に生かす、あるいはそういったある意味みずみずしい感性を保ちつつ生きていくためには、本人がより大人の段階に生まれ変わるしかありません。
「いくらかの時間が要る」とは、その生まれ変わりに必要な時間を意味しているのでしょう。
「闇」は怒りを持った子の世界そのもの。社会は偽りだ、大人はきたならしい、そういう思いがドロドロと渦巻いているのは思春期の心理によく見られる特徴でしょう。
そしてそういう単純な世界観から脱却して真の意味で世の中と向き合っていくために必要なのは、やっぱり成長した本人自身の心なのです。
And then you dream again
In a world that only you know
Inside you, you can hide you
No one to scream at you
そしてお前は再び夢を見る
お前しか知らない世界で
自身の中にお前は隠れていい
誰もお前に叫ばない
これは"生まれ変わり"の合間の休息時間でしょうか。
曲の構成上必要なパートでしかないかもしれませんが(笑)。
Turn around and when you face the sun
We can make you be like everyone you know
Oh turn away and never face the sun
You'll never make me be like you
I'm master of the moon
振り向いて太陽に面した時
お前の知っている誰にでも変えてやろう
背を向け、もう太陽に顔を向けるな
お前はもう決して、私をお前にさせようとはするまい
私が月の支配者
これがラストの部分になります。
太陽に「顔を向けるな」と言っているからには、この「太陽」とは何なのかという問題が残りますね。
この子は太陽に向かっていたけど、それをもうするなと止めている。
正直なところこれがまたよくわからないなぁ・・・。
太陽が「大人の世界」の可能性はおそらくここで少なくなってしまうような。
思春期の子にとっての憧れの対象、永遠に光り輝く英雄のような存在でしょうか。
そうすると太陽と月が対照的に出てくる理由がいまいちはっきりしないのですが、とりあえずここはもう保留で(笑)!
で、最後に「月の支配者」が子どもから語り手に移るんですね。
大人への不信から「月の支配者」になりたがっていた(なっていた)子どもが、そうでなくなる。
ここでひとつの生まれ変わりが起こり、闇の世界にいた子はそこから戻ってくる一歩を踏み出します。
~~~~
たとえば反社会的な行動に憧れたり、極端な思想に走ったり、病み垢のアイドルになろうとしたり。
この曲ではそういう行動を「月の支配者」になろうとしている、と形容しているのでしょう。
これは子どもに限らず、道を踏み外しかけた人の立ち直りの歌なのかもしれません。
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