Naked in the Rain (DIO)
こんにちは、管理人です。
つい先日まで個展の真っ最中だったもので更新がゆるやかになっていました。この記事から復帰です。
Naked in the Rainは1987年のアルバムDream Evil収録。新しくバンドに加入したクレイグ・ゴールディのギターが、タイトル通り雨の音のようなしっとりとした重さを感じさせます。
管理人はこの曲が非常に好きなのですが、今回、歌詞をじっくり読んでみたら「こういう歌だったのか・・・」とけっこう衝撃でした。

このころのDIO。左からクレイグ、ロニー、ジミー・ベイン(ベース)、ヴィニー・アピス(ドラム)。ちょうどヴィニーの後ろに隠れてしまっていますが(手だけ出ているみたい)、ほかにキーボードのクロード・シュネルがいます。
Naked in the Rain by DIO
※翻訳は管理人によるものです
Two faces on fire, no traces
Something has swallowed the night
You know that nothing
Can make it alright
火の上の2つの顔、痕跡もなく
何かがあの夜を呑み込んだ
分かるだろう それを正すことなどできないと
Like candy emotion, too much
And sugar can turn to sand
You scream
But nobody touches your hand
Are we just shouting at the pain?
Or do we see just what we are?
甘い情念のよう、あまりに多すぎれば
砂糖は砂になってしまう
お前が叫んでも
誰もお前の手に触れてくれない
我々はまさに痛みに叫んでいるのか?
もしくはただ、自身を見ているのか?
We're naked in the rain
Naked in the rain
我々は裸で雨に濡れている
裸で雨の中に
Two children, guns loaded
Take aim and blow all the dreams away
Too late for anything better to say
Are we just crazy with the pain?
Or do we see just what we are?
2人の子ども、銃に弾はある
狙いを定めて全ての夢が吹き飛ぶ
言えばよかったことにも、もう遅い
我々は痛みに狂っているのか?
もしくはただ、自身を見ているのか?
We're naked in the rain
Naked in the rain
Naked in the rain
我々は裸で雨に濡れている
裸で雨に濡れて
裸で雨に濡れて
Two faces, no fire, no traces
Fever has turned to snow
Hearts break to show you
The way as you go
Are we just running from the pain?
Or do we see just what we are?
2つの顔、火も痕跡もなく
熱は雪に変わってしまった
心は壊れ
お前が行く道を示す
我々は痛みから逃げているだけなのか?
もしくはただ、自身を見ているのか?
We're naked in the rain
Naked in the rain
Naked in the rain
Naked in the rain
我々は裸で雨に濡れている
裸で雨に濡れて
裸で雨に濡れて
裸で雨に濡れて
Two children on fire
Emotion burns higher
Guns loaded, blow all the dreams away
火の上にいる2人の子
情念はより高く燃え上がる
銃は装填され、全ての夢を吹き飛ばす
Naked in the rain
Naked in the rain
Frightened by the pain
Naked in the rain
我々は裸で雨に濡れている
裸で雨に濡れて
痛みに躍り上がり
裸で雨に濡れている
ロニーは子ども、あるいは10代の少年少女をいくつもの曲で歌っていますが、この曲はおそらく思春期の子どもの情念の危うさを歌ったもの。特に中盤の
Two children, guns loaded
Take aim and blow all the dreams away
は銃犯罪を思わせる部分であり、そこから見ると全体的にそういう犯罪を暗示しているように見えてきます。
Two faces on fire, no traces
Something has swallowed the night
You know that nothing
Can make it alright
火の上の2つの顔、痕跡もなく
何かがあの夜を呑み込んだ
分かるだろう それを正すことなどできないと
Two facesは中盤以降に出てくる2人の子ども。
2人がある夜、道を誤ったことを示唆しています。
Like candy emotion, too much
And sugar can turn to sand
You scream
But nobody touches your hand
Are we just shouting at the pain?
Or do we see just what we are?
甘い情念のよう、あまりに多すぎれば
砂糖は砂になってしまう
お前が叫んでも
誰もお前の手に触れてくれない
我々はまさに痛みに叫んでいるのか?
もしくはただ、自身を見ているのか?
これは若い感性の鋭敏さ、未熟であるがゆえの純粋さ、それが度を越した時の失敗を表しているようです。
子どもが子どもなりの美学や感性で行動を起こしても、時にそれは非常識だったり犯罪になったりしてしまいます。
そして道を踏み外した人間に対して世界は冷たい=nobody touches your hand。
自身を見ているとは、誰もがかつて子どもだったからではないでしょうか。
We're naked in the rain
Naked in the rain
我々は裸で雨に濡れている
裸で雨の中に
これは非常に無防備なことの表現と言えますが、「我々」となっているからには、雨の中にいるのは子どもたちだけではないようです。
Two children, guns loaded
Take aim and blow all the dreams away
Too late for anything better to say
Are we just crazy with the pain?
Or do we see just what we are?
2人の子ども、銃に弾はある
狙いを定めて全ての夢が吹き飛ぶ
言えばよかったことにも、もう遅い
我々は痛みに狂っているのか?
もしくはただ、自身を見ているのか?
これが最初に書いた、銃犯罪を思わせる部分ですね。
そのテーマを歌った曲としてはSkid Rowの「18 and Life」が有名で、あれは10代の男の子が誤って友達を射殺してしまった実際の事件をもとにしているそうです。
ただ、ここでは偶発的な事故というよりは意図的に撃ったように思えます。
Two faces, no fire, no traces
Fever has turned to snow
Hearts break to show you
The way as you go
Are we just running from the pain?
Or do we see just what we are?
2つの顔、火も痕跡もなく
熱は雪に変わってしまった
心は壊れ
お前が行く道を示す
我々は痛みから逃げているだけなのか?
もしくはただ、自身を見ているのか?
熱が雪に変わった=思春期の情熱がとりかえしのつかない事態を引き起こしてしまい、その情熱も現実の前に潰えてしまった。そんなところでしょう。
お前が行く道とは犯罪者、あるいは過去に何かをやった人間として生きていく道。
痛みから逃げているというのは、そういう犯罪が溢れていながらいまだに銃社会であるアメリカ(そして、そんな社会を放置している大人)を暗示しているのかもしれません。
We're naked in the rain
Naked in the rain
Naked in the rain
Naked in the rain
我々は裸で雨に濡れている
裸で雨に濡れて
裸で雨に濡れて
裸で雨に濡れて
繰り返しなので省略。
Two children on fire
Emotion burns higher
Guns loaded, blow all the dreams away
火の上にいる2人の子
情念はより高く燃え上がる
銃は装填され、全ての夢を吹き飛ばす
内容は前の部分と似ていますが、ここまで見てくると「火の上」には二重の意味があるように思えます。
1つはすぐあとに出てくる、若い情念が燃え上げるさま。
もう1つは、この後に待ち受ける大人の社会での裁きの場。法廷か、社会的制裁です。
Naked in the rain
Naked in the rain
Frightened by the pain
Naked in the rain
我々は裸で雨に濡れている
裸で雨に濡れて
痛みに躍り上がり
裸で雨に濡れている
この部分もほぼ同じ。
ですが最初の方で書いたように、雨の中にいるのは子どもたちだけではない――というのがこの曲の一貫した姿勢のようです。
順番に並べてみると
Are we just shouting at the pain?
↓
Are we just crazy with the pain?
↓
Are we just running from the pain?
↓
Frightened by the pain
となっており、特に順序に意味はなさそうですが、最後の部分でその痛みが"自分たちのものであること"を特に強調しているように、管理人には思えます。
子どもは一種、大人と別の世界に生きていますが、そういう子供の世界を「純粋だから」「素直だから」と無条件に善としてしまうのは危険なことでもあります。
時に純粋さはとんでもない悪の引き金になるからです。
そこでは「無垢」は「無知」とほぼ同義語であり、純粋さは同時に愚かさでもあります。
そして、そういう事態が起こってなお、悪いのは大人だからと主張したがる大人もいます。
この曲ではそんな子どもたちの起こしてしまったことも、大人の社会も、どちらをも哀しく、憐れみを持って、しかもどこか突き放して見つめているように思えます。
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